国会会議録検索システムから抽出した議事録データを使って国会議員の活動量を可視化するTableauダッシュボードを作った

背景/課題

投票した政治家が当選したあと、その政治家がちゃんと活動しているのか、私は把握できていない。大多数の市民もそんな感じではないかと思う。この場合、最もらしいマニフェストを唱えるが、行動が伴っていない政治家に投票してしまう可能性がある。理想の市民としては、その政治家の当選後の活動を監視し、行動が伴っていなければ、次の選挙では投票しないようにしたい(あるいは、頑張っている人に投票できるようにしたい)。

しかし、市民も毎日忙しいので、当選後の活動を監視し続けるのは簡単なことではない。せいぜいできることといえば、メディアが切り取った事実をニュースとして受け止めるぐらいである。

そこで、一生懸命監視し続けなくても、自分の選挙区の政治家がちゃんと働いているのか確認できるようなダッシュボードを作ってみた。

何を作ったか

国会議員が参加した会議*1を集計して定量化することにした。

The Activity of Japanese Politicians - 国会活動の定量化

当然のことながら、国会議員の主な仕事場は衆/参両院の本会議、委員会等である。地元での活動、様々な会合への参加、裏での根回し、メディアへの露出など、活動の場はいろいろあるだろうが、主たる活動の場は国会や各種委員会であることで間違いはないだろう。そこで活動していない者は仕事をしていないと見られても仕方がないとも言える。

そして、この主たる仕事場の活躍ぶりは検索可能な議事録データとして、国の方から公式に公開してくれている。

国会会議録検索システム

今回作ったThe Activity of Japanese Politicians - 国会活動の定量化は、第207回(2021/12/6-2021/12/21)から第211回(2023/1/23-2023/6/21)までの議事録データを取得し、集計したものである*2

何がわかるか

このダッシュボードでは、選挙区ごとに選出された政治家の活動状況がわかるようにした。また、複数会期を通じたトレンドから、頑張っている時期があったり、常に活動していないな、などもわかる。

実際にダッシュボードを眺めた個人の感想は以下である。

  • 自分が住んでいた選挙区の政治家はまぁまぁ活動していそう
  • メディアでよく見かけるあの政治家は実は全然会議に参加していなかったりする
  • 大臣などの役職につくとやたら活動量が増える(質疑応答に立つので当然ではある)
  • 大阪は維新が強いけど、活動も活発なので、大阪府民の声は国会活動にも反映されていると言えそう

参考文献

(1ページ目)国会議員は仕事してるの? 72人もいる「トリプルゼロ」とは | AERA dot. (アエラドット)

有名な政治家が実は全然発言していないことは、数年前にも特集されたようである。

国会会議録検索システム検索用APIを使って国会での発言を分析してみた - Qiita

国会会議録検索システムAPIのご紹介|e-TEA

国会会議録検索システムのデータを利用したアドホックな分析事例はいくつかあるが、ダッシュボードにして継続的な監視を目指した事例はこれが初めてではないかと思われる。

今後の課題

データ基盤を整備したり、深掘って分析できるようにしたりなど、趣味プロジェクトとして育てたい。

*1:出席し発言したことをもって「参加した」とし、ダッシュボード上では「発言を伴う会議出席回数」とした

*2:本記事執筆時点